行政書士西口労務パートナーズ

建設業許可について

建設業許可とは

そもそも建設業とは?

私たちの日常生活を営む上で、欠かすことのできない『衣・食・住』のうち、住環境を整備してきた基幹産業で、居住用の住宅はもちろん、道路・上下水道・学校・病院・工場などの工事を行う事業活動です。

建設業法上の定義では、『元請、下請その他いかなる名義をもってするかを問わず、建設工事の完成を請負うこと』と規定されています。

建設業の許可が必要となる場合とは?

建設業を営む事業者は、軽微な建設工事を除き建設業の許可を受ける必要があります。

建築一式工事 建築一式工事以外の工事
軽微な建設工事
  • 工事1件の請負金額が消費税込みで、1,500万円未満の工事
  • 請負金額に関係なく、木造住宅であって、延べ面積が150㎡未満の工事
    (主要構造部が木造であって、延面積の1/2以上を居住の用に供する場合。)
    <どちらかを満たせば、軽微な工事となる。>
  • 工事1件あたりの請負金額が消費税込みで、500万円未満の工事

また、28種ある建設業の種類(業種)ごとに、そして、営業所の所在地や営業所の数によって、国土交通大臣もしくは都道府県知事の許可を受ける必要があるとされています。
そのため、軽微な工事のみを請け負う営業のみをされる場合には、建設業の許可を受けていなくても建設業を営むことができますが、以下の4つの理由から建設業の許可を取得されることをおススメいたします。

  • 発注者や元請け企業に対する自社の信用力の強化できる。
  • 会社の資金繰りには欠かせない銀行の融資が受けやすくなる。
  • 500万円という金額の制限を気にすることなく工事の受注が可能となる。
  • 公共工事を受注するための一つの要件を満たすことになる。

近年では、コンプライアンス(法令順守)の観点からも建設業の許可を取得することが求められてきていますし、元請け業者から下請け業者に対して、建設業の許可の取得を要請することも増えてきていますので、今必要でなくても、今後500万円以上の工事を請け負う予定がある場合や事業を拡大していく予定であれば、建設業の許可を取得することは必須となってきます。

さらに、建設業許可を取得するための要件は年々厳しくなってきており、最近では、 新規の許可を受けるために、社会保険の加入が義務付けられる こととなっているため、建設業の許可取得を考えられている建設業者様は早期のご準備をおススメいたします。

建設業許可の取得には、要件を満たしていても、都道府県知事許可の場合には、書類を受理してから30日~45日、大臣許可の場合には、書類が管轄の地方整備局に到達してから約3か月はかかるので、許可が必要な時期に合わせてご準備されることをおススメいたします。

建設業許可の種類

都道府県知事許可か国土交通大臣許可?

建設業の許可は、個人または法人の営業所の所在地がどこにあるのかと営業所の数によって申請する先が変わります。

  • 国土交通大臣許可・・・二つ以上の都道府県にまたがって営業所がある場合
  • 都道府県知事許可・・・一つの都道府県のみに営業所がある場合

※建設工事自体は営業所の所在地に関わりなく、他の都道府県でも行うことができます。

一般建設業許可か特定建設業許可?

一般建設業許可とは、建設工事を下請け業者に外注しない場合、または、下請け業者に外注する場合でも、1件あたりの下請け代金の額が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)未満の場合に取得する許可です。

つまり、一般建設業許可のみを所持する建設業者であれば、 発注者から直接請け負った建設工事 で、1件あたりの請負金額が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上の下請け契約を締結することができない(自社のみで施工する)ということになります。

特定建設業許可とは、 発注者から直接請け負った建設工事 で、下請け業者に外注する場合に、1件あたりの下請け代金の額(下請契約が2つ以上あるときはその総額)が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)以上となる場合に取得する許可です。

つまり、一般建設業許可と異なり特定建設業許可を有する建設業者は、発注者から直接請け負った建設工事の下請け金額が3,000万円以上であっても、下請け業者に外注することができることになります。

ここでのポイントは、『 発注者から直接請け負った建設工事 』でないかぎり、下請け代金の額が3,000万円(建築一式工事は4,500万円)以上であっても、「特定」の許可を受ける必要はないので、例えば、元請け業者から工事を受注した一次下請業者が、さらにその下請(二次下請業者・孫請け業者)に対して工事を外注する場合には、一般建設業許可でよいということになります。

建設業許可業種の種類

28業種に分かれる許可業種

建設業の許可業種は以下の28種類あり、許可を受けた業種について、500万円以上の工事を請け負うことができるようになります。
許可を受けるためには、様々な要件がありますが、そのうちの一つである専任技術者になるためには、10年間の実務経験を積むか、許可業種ごとに定められている各種の資格を取得する必要があります。
資格を取得することは簡単ではないですが、実務経験で要件を満たそうとすると10年間の経験が必要になるので、申請できるのは、事実上1業種のみ(実務経験のみで2業種の許可を受けるためには、それぞれ10年ずつ合計20年間の実務経験が必要)なので、なるべく資格を取得されることをおススメいたします。

許可業種 建設工事の内容・例示 専任技術者となり得る資格区分
土木一式工事業 総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事
トンネル・橋梁・ダム工事のような大規模な工事で、必ずしも二つ以上の専門工事の組み合わせは要件ではなく、工事の規模や複雑性などから、個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれる。
(土木一式工事の許可を取得すれば、土木系の工事が何でもできるわけではありません。)
・1級建設機械施工技士
・2級建設機械施工技士
(第1種~第6種)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木)
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:建設・鋼構造及びコンクリート・農業土木・水産土木・森林土木)
建築一式工事業 総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事
建物の新築工事・増改築工事で、必ずしも二つ以上の専門工事の組み合わせは要件ではなく、工事の規模や複雑性などから、個別の専門工事として施工することが困難なものも含まれる。
(建築一式工事の許可を取得すれば、建築系の工事が何でもできるわけではありません。)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:建築)
・1級建築士
・2級建築士
大工工事業 大工・型枠・造作工事 ・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:躯体・仕上げ)
・1級建築士
・2級建築士
・木造建築士
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:建築大工)
左官工事業 左官・モルタル・吹付け工事 ・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:左官)
とび・土工工事業 とび工・足場等仮設
くい工・くい打ち・くい抜き
土工・掘削・発破・盛土工事
コンクリート工
地盤改良・外構・はつり工事
・1級建設機械施工技士
・2級建設機械施工技士
(第1種~第6種)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木・薬液注入)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:躯体)
・技術士法に規定されている技術士試験
(総合技術監理:建設・鋼構造及びコンクリート・農業土木・水産土木・森林土木)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:とび・とび工型枠施工・コンクリート圧送施工・ウェルポイント施工)
・地すべり防止工事(民間資格)
石工事業 石積み コンクリートブロック積み工事
(法面処理・擁壁としてのコンクリートブロック工事を含む。)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工・石工・石材施工・石積み)
屋根工事業 瓦・スレート
金属薄板などによる屋根ふき工事
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・1級建築士
・2級建築士
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:建築板金・板金工・板金・かわらぶき・スレート施工)
電気工事業 発電設備・送配電線
変電設備照明設備・信号設備
ネオン装置工事
・1級電気工事施工管理技士
・2級電気工事施工管理技士
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:建設・鋼構造及びコンクリート・電気電子)
・第1種電気工事士
・第2種電気工事士
・電気主任技術者(1種~3種)
・建築設備士(民間資格)
・1級計装士(民間資格)
管工事業 冷暖房設備・空気調和設備・給排水、給湯設備・衛生設備・ガス管配管工事
(敷地内の上下水道工事を含む。)
・1級管工事施工管理技士
・2級管工事施工管理技士
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:機械「流体工学」または「熱工学」・上下水道・「上下水道及び工業用水道」・衛生工学・水質管理・廃棄物管理)
・給水装置工事主任技術者
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:冷凍空気調和機器施工・空気調和設備配管・給排水衛生設備配管・配管・配管工)
・建築設備士(民間資格)
・1級計装士(民間資格)
タイル・れんがブロック工事業 タイル張り・レンガ積み
コンクリートブロック積み
石綿スレート張り工事
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:躯体・仕上げ)
・1級建築士
・2級建築士
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:タイル張り・タイル張り工・築炉・築炉工・れんが積み・ブロック建築・ブロック建築工・コンクリート積みブロック施工)
鋼構造物工事業 加工から組み立てまでを一貫して行う鉄骨工事・石油、ガス等の貯蔵用タンク設置・閘門、水門等の門扉設置工事 ・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:躯体)
・1級建築士
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:鋼構造及びコンクリート)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:鉄工・製罐)
鉄筋工事業 鉄筋加工組立・ガス圧接工事 ・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:躯体)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:鉄筋組立て・鉄筋施工)
ほ装工事業 アスファルト舗装・
コンクリート舗装ブロック舗装工事
・1級建設機械施工技士
・2級建設機械施工技士
(第1種~第6種)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木)
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:建設・鋼構造及びコンクリート)
しゅんせつ工事業 港湾、河川等のしゅんせつ工事 ・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木)
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:建設・鋼構造及びコンクリート・水産土木)
板金工事業 建築板金・板金加工取付け工事 ・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:工場板金・建築板金・
ガラス工事業 ガラス加工取付け工事 ・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:ガラス施工)
塗装工事業 塗装・鋼構造物塗装・路面標示工事
(道路ライン工事を含む。)
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:鋼構造物塗装)
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:塗装・木工塗装・木工塗装工・建築塗装・建築塗装工・金属塗装・金属塗装工・噴霧塗装・路面標示施工)
防水工事業 アスファルト防水・モルタル防水
シート防水などで、建築系の防水工事
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:防水施工)
内装仕上工事業 インテリア・天井仕上げ・壁張り
内装間仕切り・床仕上げ・たたみ
ふすま・家具・防音工事
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・1級建築士
・2級建築士
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:畳製作・畳工・内装仕上げ施工・カーテン施工・天井仕上げ施工・床仕上げ施工・表装・表具・表具工)
機械器具設置工事業 プラント設備・運搬機器設置
集塵機器設置・給排気機器設置
舞台装置設置・立体駐車設備工事
(原則的に動力がついたものの工事)
・技術士法に規定されている技術士試験
(総合技術監理:機械・機械「流体工学」または「熱工学」)
熱絶縁工事 冷暖房設備・動力設備または燃料工業、化学工業などの設備の熱絶縁工事 ・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:熱絶縁施工)
電気通信工事業 電気通信機械設置・データ通信設備
情報制御設備工事
(ネットワーク・ケーブルテレビ
コンピューター設備工事を含む。)
・技術士法に規定されている技術士試験
(総合技術監理:電気電子)
・電気通信主任技術者
造園工事業 植栽・地ごしらえ・公園設備・広場
水景工事・屋上等緑化工事
(公園内の各種施設の工事を含む。)
・1級造園施工管理技士
・2級造園施工管理技士
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:建設・鋼構造及びコンクリート・林業・森林土木)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:造園)
さく井工事業 さく井・温泉掘削・井戸築造
石油、天然ガス掘削・揚水設備工事
(ボーリング工事を含む。)
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:上下水道「上水道及び工業用水道」)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定
(種別:さく井)
・地すべり防止工事(民間資格)
建具工事業 木製、金属製建具取付け
シャッター取付け
サッシ取付け・自動ドア取付け
・1級建築施工管理技士
・2級建築施工管理技士
(種別:仕上げ)
・職業能力開発促進法に規定されている技能検定(種別:建具製作・木工・カーテンウォール施工・サッシ施工)
水道施設工事業 取水施設、浄水施設、配水施設
下水処理設備工事
・1級土木施工管理技士
・2級土木施工管理技士
(種別:土木)
・技術士法に規定されている技術士試験(総合技術監理:上下水道・上下水道「上水道及び工業用水道」・水質管理・廃棄物管理)
消防施設工事業 屋内消火栓設置・スプリンクラー設置
屋外消火栓設置・火災報知設備
非常警報設備・排煙設備の設置工事
・甲種消防設備士
・乙種消防設備士
清掃施設工事業 ごみ処理施設、し尿処理施設工事 ・技術士法に規定されている技術士試験
(総合技術監理:廃棄物管理)


※ 重大な公衆災害の発生、環境への配慮、建築物等の老朽化が背景となり、平成28年度をめどに、解体工事業の業種区分が新設されるため、今後は29業種となる。

※ 一つの資格で、複数業種の許可を受けられることがありますので、実務経験でも許可は受けられますが、できれば、各種の資格を取得されることをおススメいたします。

※ 一式工事の許可は、個別の専門工事を含んでいる許可区分ではないので、個別の専門工事を受注するには、一式工事とは別に専門工事の許可を取得する必要があります。

※ 草刈り・雑木伐採・樹木の剪定・庭木の管理・機械や設備機器等の保守及び点検整備委託管理業務・自動車や船舶に関する作業などは建設工事に該当しません。

許可の有効期限

建設業の許可は、新規に取得するとずっと有効になるモノではなく、5年間の有効期間が定められています。
つまり、許可を受けた日から5年後に許可は失効してしまうため、5年後も引き続き建設業の営業を継続していくためには、許可の更新手続きを取らなければなりません。
その際には、新規許可のときのように、500万円の資金調達能力があることを示すために、残高証明を添付する必要はありませんが、毎年、決算終了後4か月以内に決算変更届を管轄の土木事務所に提出しておく必要があります。
5年後に慌てて手続きをすることのないように、日ごろから書類の管理を徹底し、毎年忘れずに決算変更届を提出するように心がけてください。
もちろん役所の方から、期限が到来していることについてのお知らせはありませんし、万が一失効してしまった場合は、改めて新規許可の申請となり、それだけで手数料が4万円も違ってきます。

当事務所では、許可期限の管理も厳格に行うことで、許可が失効することのないように適切な時期にお客様にご案内いたします!!